e-radデータベースに基づく自大学の科研費応募採択状況の把握

自分が所属する大学の科研費応募状況、採択状況は、研究支援のための基礎的な資料となりますが、大学のどの部門・部署がそういった資料を管理しているのかがわからなかったり、資料のフォーマットが年度ごとに一定でなかったりと、基礎資料の確保から困難が生じる場合があります。

e-radには応募・採択情報がありますが、通常、大学の科研費担当部門の人にしかアクセス権が与えられていないと思います。しかし事務職員は科研費採択状況の「分析」までは担当していないことが多いでしょうから、大学事務職員とURAとの緊密な連携が必須になります。

e-RadとJSPS科研費電子申請システム

毎年の科研費の応募管理は、e-Radウェブサイトにログインした後、さらに「外部連携システム」である「JSPS科研費電子申請システム」上で行われます。そこには「部局担当者向けメニュー」があって、応募手続きを大学事務職員が行えるようになっています。研究者側は自分の応募に関することだけが、このシステム上で行えます。

「JSPS科研費電子申請システム」はその年度の状況しかデータがありません。それに対して、一段前のe-Radシステムのほうには過去に遡った全ての応募、採択情報が存在しています。JSPS科研費に限らず、他の省庁の公的研究費も含めたすべての情報が眠っており、自大学の公的研究費への応募・採択情報のデータをe-Radから取得することで、自大学の公的資金獲得状況の分析が可能になります。

e-Radからの公的研究費応募・採択情報の取得

研究機関事務分担者としてe-Radにログインしたあとのメニューで「提出済の研究課題の管理」をクリックすると「応募/採択課題一覧」の検索画面になります。

例えば科研費であれば、指定すべき(入力すべき)情報は、

配分機関名:文部科学省 制度コード:S000003 制度名:科学研究費助成事業

となります。

 

特定の研究者の応募・採択状況を知りたければ氏名もしくは研究者番号を入力して、「配分機関名」を「すべて」とすれば、その研究者の過去の応募・採択状況が一覧できます。「応募内容提案書ダウンロード」の項目にボタンが表示されているものに関しては、応募書類PDFのダウンロードも可能です。科研費に関しては過去の応募書類は存在しないようです。となると、科研費に関してはもし申請書をデータとして保持しておきたいのであれば毎年、ダウンロードして保存しておく必要があります。

AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)の助成事業などは採択がなかなかされない難関ですが、そんなAMEDで採択されている自大学の研究者がいないかどうかというチェックもこの検索画面で簡単にできます。

IRにおける部署横断的な連携の重要性

大学組織の中でURAがどの部署に配置されているかによっては、URAがこういった情報に対するアクセス権が得られなないため、事務職員との連携が非常に重要だと感じます。人事情報もそうですが、個々の情報にアクセスできる権利はその情報管理を担当している事務の部署のみであるため、そういった情報を本来は部署横断的に集めて解析したいURAにとっては、障壁が非常に大きいと言えます。URAが学長の直下に配置されていたりして、各部署との連携体制が組織として整っている場合には、こうした障壁がなくなってIR(Institutional Research)が円滑に進むのかもしれません。

 

 

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