採択される科研費申請書の書き方に関する考察

採択される科研費申請書の書き方に関する考察

-2年間の添削経験をもとに-

武藤 彩

医学部 研究推進室 リサーチ・アドミニストレーション部門

 リサーチ・アドミニストレータ-(University Research Administrator; URA)は研究支援を行う専門職として2017年より本学医学部に、2020年には全学にも導入されました。私は2019年に医学部URAに着任し、2020年度と2021年度科研費の申請支援を行いましたので、その経験に基づき、研究計画調書の書き方に関する要点をお伝えします。科研費の採択可能性を高めたければ、まずは審査のポイントを知ることです。これは、「審査の手引き」として公開されています。審査の評価ポイントは、(1)研究目的を明確に示し、(2)研究の意義を伝え、(3)研究計画の実現可能性を納得させるという3点に集約できるでしょう。逆に言えば、何をやるのかが不明瞭、その意義も不明瞭、その計画で実現できるのか、また、その人に実現できるのかも不明瞭だと、採択可能性が下がります。自分としては明確に書いたつもりだったのに、第三者が読んだらちっとも伝わってこないというのが、典型的な失敗例です。科研費計画調書は、どのセクションに何を書くべきかの指示があります。しかし、「書くべきことを、書くべきセクションに書く」ということができていない初歩的なミスもしばしば見受けられます。仮に研究目的が目的欄以外の場所に書いてあれば、読み落とされる可能性が高いでしょう。

研究の意義を伝える場合、単に「意義があります」と書いても説得力はなく、全体的な構成の中に意義を織り込んで書く工夫が必要です。意義をアピールできる場所の一つは、「学術的背景、研究課題の核心をなす学術的問い」のセクションです。ここでは、問いが生まれた過程の背景説明が求められます。これが上手く書けたかどうかを確かめるには、背景を問いの直前まで読んできたときに、次に来る問いが自然と思い浮かぶか?を自問してみることです。これが出来ていれば、学術的な問いの設定には必然性があり、それを問う意義があると思ってもらえます。研究目的は、学術的な問いに(部分的であっても)答えられるように、より具体なものとして設定する必要があります。

研究目的がどんなに素晴らしくても、それが限られた年数で実現できそうになければ採択されません。実現可能性は、実験計画の内容と申請者の過去の業績によって測られます。実験計画に書かれた個々の実験が、研究目的の達成にどう繋がるのかがわかりにくい例も、しばしば見かけます。研究業績欄は、近年書式が変更され自由記述になりました。そのため、従来のように論文リストを単に掲載するだけでは、業績と研究提案との関連性が読み取りにくく、他の申請書と比べられた場合には業績のアピールが不十分だと思われます。

計画調書の書式は、要旨の行数制限の撤廃などの変更もありました。また、申請書の書き方に関する書籍の普及やURA支援制度を導入した大学の増加などにより、全体的な計画調書のレベルは上がる一方です。このような時代の流れに遅れることなく、 より伝わる工夫を凝らした申請書を作成することが、採択可能性を上げるうえで重要だと考えられます。

第17回東邦大学5学部合同学術風会抄録集

第17回 東邦大学5学部合同学術集会 口頭発表 オンライン開催 2021年3月13日(土) 13:00~15:50